top of page

~Prologue~

 

この世界には、15の国が存在する世界。

すべての始まりの原点、無の国。

植物をこよなく愛する、自然の国。

清らかな水が流れる、水の国。

大きな火山のある、炎の国。

国中電気が通っている、雷の国。

氷の城が特徴な、氷の国。

毎日を明るく照らす、太陽の国。

逆に毎日が暗い、夜の国。

国自体が浮いている、空の国。

闘技場で有名な、格闘の国。

国が地下にある、地面の国。

岩山に囲まれている、岩石の国。

小さな教会が数多くある、霊界の国。

住宅などがほぼ鉄で作られている、鋼の国。

国の人々にドラゴンの能力が備わっている、龍神の国。

すべての国が、平和に暮らしていたはずだった。

だが突然、魔王と名乗るものが、魔物を送り出し、全国を襲った。

対抗はしたものの、傷付く者ばかりだった。

そこに、7人の勇気ある戦士たちが現れた。彼らは各国に散らばり、人々を救っていった。

しかし、7人の戦士たちが散らばって魔物を倒していったのだが、無の国だけは消滅してしまった。

幸い、人々はある程度逃げ出したのだが、無の国の半分の人が死滅した。

自分たちの力が至らなかったと責任を感じながらも、戦士たちは何とか魔王と戦い、勝利した。

そして、消滅したはずの無の国の場所に、辛うじて残っている神殿に、魔王をクリスタルで封印した。

しかし、その数百年後、「辛うじて」の状態だった神殿は腐敗し、崩れてしまった。

それと同時に、クリスタルに封印された魔王は、土に埋もれた。

今でも、そのクリスタルは地面の中に埋もれたままだという。

 

 

 

―パタン・・・。

 

少年は本を閉じた。

 

「リズロ~!」

 

家の外から、声が聞こえた。

リズロと呼ばれた少年は、本を棚にしまい、家の外に出た。

 

「ごめん、レイ、待った?」

「1時間ぐらい待った。」

「うわっ!ホントごめん!」

「うそうそ、今来たばっかだよ。」

「はぁ、なぁんだ。驚かさないでよ。」

 

そして、2人は歩き出した。

この2人は幼馴染みで、遊びに行く時はいつも一緒なのだ。

ちなみにリズロは、ここ自然の国の住人だ。緑系統の姿をしている。

レイと呼ばれた少年は、無の国の住人。

昔、無の国が消滅し、その住人たちは各国に散らばっていった。つまり、どの国にも無の国の住人がいるというわけだ。

そうなると、レイは自然の国の住人とも言える。

 

「ねぇ、レイ。今日は何するの?」

「今日はね・・・。」

 

レイはわざと言葉を止める。

 

「今日は?」

「今日は・・・。」

「何?」

「何をするかというと・・・。」

「早く言ってよ。」

 

リズロは、どこから取り出したハリセンで、レイをぶっ叩く。

 

「いった~!!何するんだよ!」

「焦らすなってこと。解った?だから早く言ってよ。」

「解ったよ・・・。」

 

レイはしぶしぶと話し始めた。

 

「今日はな、今はもうなくなってしまった、神殿跡地に行こうと思うんだ。」

「え、でも、あの場所は近付くなって言われてるじゃない。」

「どうって事ないよ。どうせ昔話だろ?」

「でもさ・・・。」

「まぁ、内心ホントにクリスタルが埋まっているのかってのもあるんだけどな。」

「僕知らないからね。」

 

リズロはそっぽを向いた。

 

「あれ?ついてきてくれないの?」

「当たり前だよ!何かあったらどうするのさ!?」

「その時は、その時だよ。さ、行こう!」

「あ、ちょっと!」

 

レイは、リズロの腕を引っ張っていった。

 

無の国は、自然の国とさほど遠くない場所にあるため、歩きで20分程度で着く距離なのだ。

だから、昔はよく自然の国と無の国が行き来していたのだ。

ならば、何故無の国だけが消滅してしまったのだろう・・・?

・・・今はそれを考える必要はない。

 

約20分、2人は神殿の跡地に着いた。

やはり、何もない。普通ならば、草木が生い茂っているのだが、そんなものはひとつもなかった。

焦げたような台地が広がっていた。

 

「やっぱなにもない。」

「当然だよ。だからさ、早く帰ろうよ。嫌な予感がしてきた。」

「あ、そう・・・だね。」

 

そういって、2人は帰ろうとした。

だが、レイの頭に誰かの声が聞こえた。

 

『まて、少年。』

 

「え?誰!?」

「どうしたの?」

「誰かが、俺を呼んでるんだ。」

「僕には聞こえないけど?」

「俺には聞こえる・・・。」

 

『我が名は、魔王ルシフェル。我が復活のためお前の体を、借りることにした。』

 

「な、なんだって!?」

 

『嫌でも、お前を無理やり連れて行くまでだ・・・。』

 

声の主がそういった後、突然黒い闇が現れた。

レイは、その黒い闇に吸い込まれていくような感じな状態だった。

流石にその状況も、リズロには見える。

吸い込まれそうになるレイの手を、必死につかみ、吸い込まれないようにした。

だが、吸い込みの力が上がり、レイの手とリズロの手は離れてしまった。

 

「リズロぉぉおおぉ!!」

「レイぃぃいいい!!」

 

レイは、闇の中に吸い込まれた。

そして、吸い込まれた後すぐに、闇は消えた。

 

「そ、そんな・・・レイ・・・レぇえぇイぃぃぃい!!」

 

そして、各国でたくさんの人の悲鳴が聞こえてきた。

魔王、ルシフェルの復活だ・・・。

 

 

 

 

第1話に続く・・・。

bottom of page