第13章:ミサを返してくれ
―3000年 1月7日 午後14時33分―
「オオ…オオオ…」
モンスターと化したミサはゆっくりと立ち上がった。
―バキバキバキバキバキバキ
ミサの頭が天井を突き破る。
「ギャ――――ッ!!」
そこから数人の軍兵達がつんざくような悲鳴を上げ、まっさかさまに落ちて来た。
落ちて来る軍兵にも気にせず、ミサの巨大な身体はユラユラときしめいている。およそ五十メートルはあるだろう。
「ミサ…クソォ!!何て事だぁ!!」
ミツルはニトロの腕の中で叫ぶ。
「あぁ…ハァハァ…美しい。」
ゲドーは息遣いが荒くなっている。
「もうこの子は元には戻らない、今からニトロの妹になるのだぁ!!」
「え?俺様がお兄ちゃんになるの?」
ニトロは目を輝かせる。
「ミサがこんなになってしまった…もう生きる希望も無い…殺せ。」
ミツルは青ざめた顔で言い放った。
「ククク、いい心がけだねぇミツルゥ、お望み通り殺してあげるよ?ニトロ、殺れ。」
ニトロは笑顔でミツルを掴む腕をきつく締め付け始めた。
「ウグアアア!」
ミツルは苦しそうにうめく。
「キャハハハァ!苦しんで死ねぇ。」
「止めろぉ!!」
僕は神技を発動しようとした。
「レッキ落ち着け、ミツルも巻き込まれるんだぞ。」
師匠が突然さえぎった。
「じゃあどうしようと言うんですか!?元はと言えばあの時師匠が機械を奪わなかったから――」
「わ・ざ・と・だ!」
…は?
「あのモンスターの型は寄生型だ。どこかに核があるからそれを破壊すればミサを元に戻せる。そうすりゃ、ミサのあの変身能力はなくなるはずなんだ。」
「本当ですか?」
「ああ、核は黒色だ、外側のどこかに必ずあるはずだ、核は変身してから取り除けるから仕方なかったんだ。スマンな言えなくて…向こうに知られたら厄介だと思ってな。」
それを早く言ってくれ。
「僕が取り除きます。師匠はミツルの救助を!」
「ホーイ。」
迫力の無い返事を聞き、僕は大木の様に立ち尽くすミサの元へ走り出した。
―午後14時34分―
「オオオオオオ」
モンスター化したミサはただただうめいている。
核はどこだ!
「ちょっと!ちょっとちょっと!!僕のミサに何をするつもりだ?」
ゲドーが驚愕の表情でこっちを見る。
「黙れ!」
怒りで前が見えなかったのだろうか、僕はゲドーに向かってインパクトを放った。
「ヒャア!」
ゲドーは飛び上がってその場から離れる。
「ミサ!今すぐ元に戻すからな!」
「オオ…レッ…キ?」
ホッ、ミサにはまだ理性があるみたいだ。
僕はミサの身体にしがみ付き、核を探した。
「どこだ!どこだどこだどこだ!!」
無いじゃないか!
「師匠、どこにもありませんけど。」
「え?あんだって?」
師匠のアホはニトロと格闘している。
ミツルはとっくに離されていた。
「核がぁ!どこにもぉ!ありませんけどぉ!!」
大声を出したのは久しぶりだ。
「何言ってんのか分かんね、メンゴメンゴ。」
なんだそりゃあ!?
「チッ!待ってろよミサ、気を確かに持て。」
僕は焦りを覚えた。
このままじゃミサの理性が吹っ飛ぶ。
「あああ、ややや止めてくれえ!!」
ゲドーが頭をかきむしる。
「ニトロォ!爆発波だ、ミツルは後だ、そいつらを殺せ、早くぅ!!」
ゲドーがそう命令する。
「カアアアアアア!」
ニトロは身体を丸める。
「レッキ!スゲ―のが来るぞ!!逃げろおお!!」
クッ!逃げるわけにはいかない!!
「神技神腕!烈硬化!」
僕が神技を発動した瞬間、
―バゴォォォォン
―ゴオオオオオオオオ
とんでもない爆音が響き、凄まじい獄炎がミサと僕、それどころかバイオテクベース内を包み込む。
「わああ!ミサを巻き込むなぁバカァ!!」
ゲドーがまた飛び上がった。
「レッキ!生きてるかぁ?」
師匠が大声で叫びかける。
「心配要りません、全て防ぎました。」
そう言った時ニトロが目の前に現れた。
「なっ!」
「俺様の妹から離れろぉ!この腐った虫ケラがァ!」
ニトロは腕を振り上げる。僕はインパクトを素早く取り出した。
―ガキン
僕の方が反応が早かった。巨大パンチはインパクトのグリップで簡単に受け止めれた。
「何ィ!?」
ニトロは一瞬戸惑ったが、その後もう片腕でパンチを繰り出してきた。
「チッ!」
邪魔だけは止めてくれ。
「神技神腕!下降掌!」
僕がそう唱えると、突っ込んで来た片腕はカクンと動きを止め、まっさかさまに落ちていった。
「オアァ!俺様の腕がぁ―!オォ―ノォ――――――ン」
ニトロが自分の腕を追って下に降りて行った。
「今の内に・・・」
ミサの身体はすっかりゴツゴツのモンスター肌で覆われてしまっている。かわいそうに。
「すぐに助けてやる。」
とは言え、当の核が見つからない。
「あったか?」
わっ!!師匠が突然近くに現れた。
「驚かせるのが得意ですね…」
「ハハッ、確かに得意だ」
この人はもう…。
「核はどこですか?」
「知らないな、モンスターによって場所が違うんだ。」
「そうですか…事は一刻も争います、師匠も核を探すのを手伝って下さい」
「おう!」
…あれ?何か忘れてるような…あ。
「…師匠、ミツルは?」
「…あっちゃあ!いけねぇ」
“あっちゃあ!いけねぇ”じゃねぇだろぉ!!
「どうするんですか!下はほとんど炎で囲まれてるんですよ?ミツルは特殊能力が全く無いから死んでしまいますよ!!」
「…困ったな。」
「心配要らないよ!!」
後ろから声がした。
「!」
「ワッ!」
ミツルが焦げ付いた格好でミサの身体をよじ登ってきた。
「ミツル!ダイナマイトに火は付いてないだろうな?」
僕は恐る恐る確認をした。ミツルは身体を見回すと、
「大丈夫だ、幸いな事に火は付いてない。」
と笑顔で言う。それを聞いて安心した。
「早くこっちに来い!」
師匠がミツルをミサの肩まで引っ張り上げた。
―午後14時37分―
師匠はミサの今の状況をミツルに説明した。
「じゃあ、核を取り除けばミサは元に戻れるんだね?」
ミツルは喜びに満ち溢れた顔で僕を見る。
「可能性はあるぜ、ミサの神経をほとんどその核が持ってっちまってる。全神経を乗っ取られたらアウトだ。」
と師匠。
「じゃあ早く見つけなきゃ!僕も手伝うよ!」
ミツルは大慌てで再びミサの身体をよじ登り出した。
しかし、ミサの頭の上にはすでに先客が待ち構えていた。
「ニトロ!」
―午後14時39分―
ニトロはアグラをかいてミツルをじっと見つめていた。
「…俺様の妹に気安く触れるな…この汚れた失敗作め。」
こりゃマズイ、ニトロはかなり怒っているみたいだ。
「ミツル!ヤバイぞ、早く戻れ!!殺されるぞ!」
師匠は慌ててミツルに叫びかける。
が、すでにミツルにはニトロの言葉も師匠の声も聞こえないみたいだ。もはや彼には怒りの鼓動しか聞こえていない。
「この子は…僕の妹だ…貴様らの様な畜生共の妹じゃない…ミサを返してもらうぞ!!」
ミツルは身体に取り付けてあったダイナマイトの1本を着火し、ニトロに向かって勢いよく投げつけた。
「ギャアアア何してん―」
―ズガァァァァァァァァァァン
師匠の悲鳴はもの凄い爆音にかき消された。
―午後14時42分―
「ミツルとミサは大丈夫か!?」
僕と師匠は爆風に飛ばされないように必死でミサにしがみ付いていた。ミサは頭がすすけている。
ハゲてたらどうしよう…じゃなくて、ミツルはどこだ?
「クッ!ククゥ…」
下から何やら苦しむ声がする。
まさか…下を見ると案の定、ミツルが必死でミサの肩につかまっていた。
「ぬっくっ…クソッ…アアァ!!」
大変だ、ミツルが落ちた。
「あらよっと」
しかし師匠がひょいと拾い上げた。
「ハァッハァッハァッ…」
ミツルの服は冷や汗でびっしょりだった。
「…お前もようやるなあ。」
師匠は呆れながらそう言った。
「ハァッハァッ…ニトロは!?」
息切れをしつつ、ミツルは上を見上げた。
「…ッ!」
ニトロは生きていた。硬い鎧は無残にもヒビだらけで肌が大きく露出されていた。さすがはダイナマイト。
「クッソォォォ!パパが作ってくれた鎧なのによぉぉ!!ゆ、許さねえぞ、この失敗作めぇ!!」
ニトロは腕から銃口を出した。グリセリング!?
「ミツル、こっちだ。」
師匠は素早くミツルをミサのかげに引き込み、その後大きくかがむと、
―シュビッ!
勢いよくジャンプした。
「くらいなニトロ、かなりいってぇ―ぞぉ!」
―バキィ――ン
ニトロの露出された頭めがけて、師匠の回し蹴りが決まった。
「――ッ?」
ニトロは硬直したままの顔で落下していった。
「よし、今の内に核を探すぞ。」
僕は平然とした顔でミツルに言った。
「え?ああ、うん」
ミツルは呆然と立ち尽くしている。まあ無理も無いな。
―午後14時47分―
ニトロの爆発波は恐ろしい…ミサの下半身は火の海と化している。天井も階段もエレベーターもほぼ全壊していて、はっきり言ってバイオテクベースは壊滅状態におちいってしまっている。
金に目がくらんだ罰だな。ゲドーも2人の助手と共に火の海に巻き込まれてしまったんだろう。
「ねえ!早く核を見つけようよ!!ミサがかわいそうじゃあないか!!」
おっと失礼。
「急ぎましょう。僕は少し下を探して来ます。」
ニトロがまだいそうで怖いが。
「そうか、気を付けて。」
ミツルは師匠がいる方へ駆け出して行った。
―午後14時49分―
ミサの皮膚がデコボコで助かった。持ちやすいので降りやすい、皮肉だが。
「核はどこだ…」
師匠の言う事はイマイチ信用出来ないしな…おまけに火の粉が身体に着いて熱い!!
さすがにたまらない…しかし…
「ミサのためだ、これくらい我慢しなくてはな。」
僕もそう言うとこは立場をわきまえている。だが下は完全に火の海だ。いくらなんでもあそこまで降りられないぞ…
「…ん?」
異変に気付いた。火の海から何かが近づいて来る…ニトロ!?
「プシュルルルルルル!見つけたぞクズ人間ンンンンンン!!」
飛んで来たニトロは鎧が砕けて姿があらわになっていた。しかも少し変形している。
耳は悪魔のようにとんがっていて、福耳の様に耳たぶが大きくたれている。宙に浮く腕はキレイにつながっている。筋肉は尋常じゃなく膨らんでいる。人間には近づいたがやっぱり気持ち悪い。
僕は神技を発動しようとしたが、この体勢で出来ると思うか?
両手を離したら火の海にまっさかさま、ハイさよならだ。
そうこうしてる内にニトロは目と鼻の先まで近づいて来た。
「プシャアシャアシャアシャア!」
マズイぞ…。
―ドグォッ
「グフッ!」
ニトロのきつい頭突きは見事に僕の背中に命中した。
いっ意識が飛ぶ…口から血が吹き出た。
ニトロは容赦無くボクシング練習を始める。
「プシャア!内臓がイカれたかぁ!?おい!プシャシャシャシャシャシャア―――!!」
このままじゃ死ぬ…。
「オラオラオラオラ」
ニトロは元気よく僕の身体を殴りつける。こんな所で死んでたまるか…。
「しぶといぞ!死ねェ!!」
ニトロの蹴りが襲いかかる。その時、不思議な事が起こった。僕の身体がミサの身体の中にめり込んで行く。
「なななななな、何だとぉ―――――!?」
ニトロはかなり驚く。
「…これは一体…」
僕は訳も分からずミサの中に入って行った。
―午後14時54分―
「レッキ…レッキ…」
ん…誰だ?僕は身体を起こした…!!
「いってぇ!!」
腹から血が…ニトロにやられたのか…それにしても辺り一面真っ暗な空間だ…。
ここは…まさか、ミサの中?不思議な光景だ…夜の様に暗いわけでなく、本当に漆黒の黒なのだ。
「レッキ…大丈夫?」
誰かの声が響く…これはミサの声だ。
「どこにいるんだ?ミサァ!!」
痛みをこらえて僕は大声だ叫んだ。
「ここだよ…」
背後から声がした。
「ハッ!ミサ…!!」
後ろにはミサが弱々しい光を帯びて立っていた。大きさは2分の1も無い。
「ミサ…なのか?」
そう…だよな…。
「これもモンスターの能力なのかな…レッキが危ないと思ったら中に取り込めましたの。」
「そうか…」
不思議な事もあるもんだな…。
まあいいや、とにかくこのミサがミサの残りの理性だとするならモンスターに理性を全て奪われるのも時間の問題だ。
「…すぐに元に戻してやる、下がってろ。」
僕はこの場から脱出するためにインパクトを適当に撃とうとした。しかし、途中で感づいた。
「待てよ?このモンスターはミサ自体でもある…下手に撃ったらミサの命にも関わるかもしれないな。」
大体、核も発見出来てないってのに。
「ミサ、この辺りで黒い塊の様なモノを見なかったか?」
そう聞いてみた。
「えぇ?…黒い塊?そんなの見たっけ、う―――ん。」
ミサは両手の指を頭の右側と左側に押さえ付け、自分の記憶をたどり出した。一休さんか。
「…あっ!見たです!!背中に直接植え付けられてるのを中から見かけたです!!」
突然叫んだもんで驚いた。
「本当か?よし、背中か…。」
今からなら間に合うかも知れない。その核を中から破壊出来れば…!
「この中から背中まで行けるか?」
「モチロン!行きたいなら捕まって!!」
ミサは後ろを向く。同時に腕がS字にひん曲がり椅子みたいになった。
「大したもんだ。」
―午後14時59分―
ミサはとても子供とは思えない俊敏さで背中を目指す。
「驚いたですか?わたし人間離れした俊敏力があるんです。」
…それより意志の幻なのに触れる時点でビックリなんだが…。
「核まで後どのくらいだ?」
「うーん、後20秒もかからないです。」
マジかよ。
「急げよ、お前の身体がどんどん薄くなってるぞ。もうすぐモンスターに神経を完全に取り込まれるかもしれないな。」
ミサは震え上がった。
「あ…ごめん」
―午後15時00分―
「着いたな。」
内部から背中に着いたなんておかしな話だ。
「これが核か…」
そこには確かに黒い塊があった。
塊からは複数の管が一面に広がっている。早く取り除いた方がよさそうだ。
「痛いかもしれんが、許してくれよ。」
僕は神技を発動した。
「神技神腕!超・神打!」
閃光が核に見事に命中した。
カァ――――――――ッ!!
核は粉々に砕ける、かに見えた。それどころか、核は超・神打を吸収してしまった。
「????????」
僕は汗を一筋流し、静かに後ろに下がった。
「あれぇ?何で壊れないですか?」
ミサは不思議そうに頭を傾ける。
「君は珍しい力を使うんだね」
核が喋った!?
「核が喋った!?」
ミサも同じ感想を述べる。師匠よりは嬉しいシンクロだ。
「驚いたか?ぼくはミサの兄でもあるリワンダーさ、ゲドー様に生きかえらしてもらって今に至るわけだ。」
リワンダーだと!?ホウプラブ教授の手記の最初に書かれていた奴だ!
「でもまぁ、この身体もモンスター、つまり闇人に近い状態に近い。いわばぼくはモンスター人間になったってわけかな」
真っ黒な核、リワンダーはかん高い声で喋り続ける。中心に金色の目が輝く。
「モンスター人間?ギルドみたいな奴か?」
リワンダーは喋るのを一瞬止め、僕を睨んだ。
「ギルド隊長?…そうかお前がギルド隊長殿を殺した野郎だな?」
リワンダーは金色の目を瞬きつつ、さらに睨みつける。
「ミサの体内から聞いてたよ!お前ともう1人の男にぼくが尊敬していたギルド隊長が殺されたってね!ったく、何て事してくれるんだぁ!?あの人の残虐っぷりはぼくも憧れてたのによぉぉ!!」
こいつは本当に失敗作だ、いかれてる。
「そいつは悪かったですね。」
「なっぐ…」
あいつの話は二度と聞きたくない。
「あんたがミサの身体を乗っ取ってるんですか?」
「その通りだ!」
と、リワンダー。じゃあ話が早い。
「今すぐこの子の身体から離れて下さい。命は勘弁してあげましょう。」
ミサは僕の後ろでガタガタ震えている。リワンダーは数秒呆然としたいたが、我に帰ったのか、
「ざけんじゃねえ!ぼくはこの身体が気に入ってるんだぞ!?」
そう叫んだ。ま、無駄な質問だったか。このロリコン野郎。
「しょうがないですねぇ、じゃ、力づくでもどいてもらいましょうか。」
―午後15時07分―
「あぁん!あんだぁお前、ぼくと戦うつもりか!?お前の攻撃なんて中途半端なんだよ!」
チッ!なめやがって…神技はまだ数発は出せそうだ、
「さて行くか!」
僕はインパクトを両手に持ち、リワンダーの懐に駆け込んだ。
「あぁ!?」
どうやらリワンダーは僕を見失ったらしい。
「神技神腕!激震打!」
メリメリィッ!!
リワンダーの腹部は粉々に飛び散る。彼の中は黒い液体でいっぱいだった。
「ぶぎょああああああああああ」
コアは悲痛の叫びを上げる。
「おや失礼、中途半端でしたよね。僕の攻撃はまだ中途半端なため、これで精一杯なんですよ。」
「いいいいい!?」
「次で終わりだ、くたばれ」
「ちょっ!待って!許し――」
「神技神腕!超・神打!!」
ギャァ―――――――――――――――!!
―午後15時12分―
叫び声は炎の海に落ちて、こときれた。
「レッキ、これで元に戻れる?」
ミサの声も大きくなっている。元に戻るんだ、きっと。
「ああ…」
僕はミサの肩を両手で持ち、ゆっくりと口を開いた。
「ミサ、僕はミツルから君を守るように言われたんだ…」
「え…?」
「僕は、過去に家族を全て失った。だから、ミサの気持ちがよくわかるんだ、だから、僕はミツルの意志を継いで君をなんとしても守り抜いてみせる」
「レッキ…」
ミサは黙りこくる。
「…そろそろ君は元の姿に戻る。僕は外に脱出しなきゃな…じゃあ、またね」
僕は、コアのいた穴から外へ出た。
ミサはゆっくりと人間の姿に戻りつつある。
第14章へ続く。