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第66章:アリス護衛作戦

―ルシラ・ナ・トエリア(天の柱)の真ん前の海上にて…―

「うおおおおおおお!!!」

ドレッドは高速でキーボードを打っていた。ルシラ・ナ・トエリアに入るために、バリアーに小さな穴を開けようとしているのだ。

『ぶっぶー!パスワードが違います。』

「ちくしょおおおおお!!いつになったら入れるんだぁぁ!!」

―3001年 4月7日 午後10時17分 コンサート会場―

アリスだけじゃない。観客達も守らなくては。

「でも、人手が足りない…」
「うぁぁぁたくし(緊急事態だからちょっと省略)達をお忘れですかな?」

ムッシュ・ドォドォとオッサン・チャンが大型の銃器を背負って走ってきた。忘れてた。

「観客の護衛はうぁぁぁたくし(緊急事態だからちょっと省略)とオッサンにお任せあれ!」
「よし、任せます。」

二人は敬礼をすると、観客達を誘導し始めた。

「さてと…」

ステージの横から何かが出てきた。

「見つけたギィ。」
「歌姫アリスだけならまだしも、国家の犬まで発見できるとはキィ。」
「うひょっ!すんばらすぃ!おれ達、褒められるぞぉ!うひょひょ!」

卵三連星か!?あ、いや、なんだよ卵三連星って、僕は馬鹿か。

「うひょひょ!」
「ギィ!」
「キィ!」

目の前に現れたのはマシュマよりも丸い体型の生き物三匹であった。左の生き物はキチキチのつなぎを着て、巨大な斧を担いでいた。右の生き物は薄茶色のパンツを穿き、トゲ付きの棍棒を背負っている。中央にいるのは頭から太い触角を生やしたピエロみたいな生き物だった。
ソイツだけ左右の生き物とは違い、トランプ人間独特の死んだ目つきをしていた。

「おこんばんは、おれはハンプティ・ダンプティ。トランプ戦団の紅白兵隊長なのだ!うひょひょ!」
「紅白兵…?あぁ、あの赤い怪物のことか。」

僕はBMを握りしめながらつぶやいた。すると、横にいた二匹の生き物がしゃべり始めた。

「左のおいらはドルダム!副隊長であるギィ!」
「同じく、右のおいらはドルディ!副副隊長キィ!」

なんか怖いイメージがないぞこいつら。

「…なんだか、かわいいかも♪」
「…何言っちゃってんですか、ミサ。」

呆れていると、三匹の生き物は笑みを浮かべた。

「アリスを渡せっ!そうすりゃ、殺すだけで勘弁してやるぜぃ!うひょひょ!」

言ってることがめちゃくちゃだな…後ろのアリスがおびえる。

「さっきから黙って聞いてりゃ、僕達国家機関よりもアリスの方を狙っているようですね。何か目的だ。“ダンプティ・ハンプティ”!」
「違う!“ハンプティ・ダンプティ”だ!やり直せ!うひょ!」

なっ…細かいな。

「……………さっきから黙って聞いてりゃ、僕達国家機関よりもアリスの方を狙っているようですね。何か目的だ。ハンプティ・ダンプティ!…これでいいでしょ?」
「レ、レッキ?やり直す必要ありますの…?」

あ…そうだった。

「だぁれが教えるかバァカめ!うひょひょ!」



ブチッ!


BM乱射!!

―ずだだだだだだだだだだだだだだだん!!!

「うひょっ!うひょひょ!」

ハンプティ・ダンプティはいとも簡単に回避する。まいったな、思ったより素早いぞ。

「うひょっ!“スチームブレス”!」

―ブシャアアアアア!!

ハンプティ・ダンプティの口から蒸気が発射される。

「危ない!ミサ、アリスをしっかりと抱えてろ!」
「了解!」

ミサはアリスを両腕で巻きつける。

「ひえええっ!?」
「瞬動!」

ミサを連れてステージ上にある照明をぶら下げた金具にしがみついた。

―ジュウウウウウウウ…

周囲のステージなどが溶けてしまった。

「高熱の蒸気か…もしくは溶解液?」

考える暇はなさそうだ。わかることは、当たったら即死だということ。

「うひょっ!お前ら、やっちまいなさい!」
「ギィ!」
「キィ!」

ドルダムとドルディが飛んできた。

「神技神腕、“手枝絡・大漁節”!」

絡みつく腕は、一瞬にしてドルダムとドルディを捕まえた。

「部下をお返ししますよ!」

即席のハンマーだ!力を込めて振り下ろす。

「うひょぉぉ!なんだコイツの能力!見たことな―」



ズゴォォォォォン!!


ステージは崩壊した。あ…やべ…

「…請求書はセントラルに送っといてください、アリス様。」
「…へえ?」

―午後10時21分―

「が…ご…」

ピクピク…ハンプティ・ダンプティはドルダムとドルディの下敷きになって失神していた。

「ざまあない。相手が悪すぎたんだ。」
「レッキカッコいい♪」

ミサは拍手をする。

「…」
「まあ、お顔が真っ赤ですわ。かわいい♪」
「ご、ごほん!それより、早くこの場を脱出しましょう。なんだか嫌な予感がします。」
「えーやだなー!レッキの嫌な予感って絶対当たるんだよね。」

間違ってはないがむかつく。

「黙れミサ。」
「びええ。」

「アリス様、付き人とかはいますか?」
「えぇ…イナバが楽屋の方で待機しておりますが…」

…よりによってアイツか。

「すぐに彼も連れて一階層まで脱出しましょう。」
「あ、あの…なんだかよくわからないんですけど…何が起こったっていうんですか?わたし、何で狙われるのかわからないし、あの赤い人達は誰?このかわいい生き物達は誰ですか?」

アリスは青ざめた顔で詰め寄った。

「…わかりません…とにかく、未知の相手に戦うのは危険なんです。狂気が帯びていない一階層ならば、狂気を持つ人間がいればすぐにわかりますし、警備も固いです。早く行かなければなりません。」
「そうですの。」
「…わかりました、この命、あなた方にゆだねます。」

―午後10時22分 楽屋―

「…アリス…」

イナバは心配そうな顔でアリスの写真を見つめていた。

「…死んではいけませんよ…アリス…」

―ガチャ!

「失礼!」

「……………ッ!!!」

イナバは真っ赤な顔で何かを懐にしまった。

「おっと…失礼、驚かすつもりはありませんでした(嘘)。」

思いきりドアを開けただけだってのに、ふっふっふ。

「何用か、国家機関!」
「今はそうやってかたくなに嫌っている場合ではありませんよ。すぐにアリスを一階層まで避難させるのです。」
「そうですの!早くアリスと逃げますの!」
「なにぃ…貴様ら、覚えておけ…アリス
だ!無礼者共めが!」
「あ…」

ダメだ、会話ができない。

「びええ。」
「とにかく手伝ってください。外にはトランプ人間がたくさんいるはずです。だから早くアリス…“様”を護衛しなきゃ…お願いします。」
「ふん…事態は大体呑み込めた。ようはアリス様をお守りすればいいのだろ?」
「そういうことです。」
「わかった…俺の能力はお前達の助けになるはずだからな…」

イナバはゆっくりと立ち上がった。ベルトの時計は金色に輝いた。

「待ちなさい。わたしも行くわ。」

―バッ!

突然クローゼットから女性が飛び出てきた。

「うぎゃあああああああ!!」

僕とミサとイナバ、全員絶叫である。

「びえええ!」
「わぁっ!わぁー!びっくりした!レッド・チェス!何をしてんですかアンタは!!」

イナバは腰を抜かしながら叫んだ。

「アリス様にサプライズをプレゼントしようと思いまして、おほほ」
「おほほじゃないですよ、サプライズは大成功ですな!」
「いや、アリス様はここにはいませんよ。残念、大失敗です。」
「なぬ!?アリス様はどこだ!」
「入口で待たしています。」
「何をしているんだ!アリス様を一人にしおって!」
「安心してください、優秀な護衛がいます。」

―午後10時25分 入口―

向かってみると、リクヤとクリスはしっかりとアリスを護衛しているようだっ…た?

「かぁー!ベタだけど美人だよなぁ!アンタ!」

リクヤは感心していた。

「あ、あの…」

アリスは少し怯えている。

「あー、大丈夫大丈夫!おれ達アンタの味方だから、あはははは!」

そう言いながらアリスの顔写真をケータイに収める。

「リクヤさん、やめた方がいいんじゃないスかぁ?」

クリスは白い目でリクヤを睨んでいる。

「いいじゃないのさ、減るもんじゃないし…」
「おのれ…無礼バスター!」

イナバはナイフを投げつける。

―ザクッ!

リクヤの額にソレは命中しました。

「ぴぎゃあああああああああ」

イナバがアリスの元へ駆け寄った。

「アリス様、お怪我はありませんか?精神的なとか。」
「あ、ありませんわ。」
「はは、それはよかった。」

僕はそんなイナバを横目で見ながらリクヤの元へ駆け寄った。リクヤはヒクヒクと痙攣している。

「大丈夫ですか?自業自得も甚だしいですが。」
「うるせえ…」

すげえ生きてる。

「さてクズ共、テメェ等は一階層へ移動するのだろ?あ、アリス様とレッド・チェスは除きますぞ。」
「何スかコイツ、むかつくな。」
「まあまあ。」
「ゴチャゴチャ騒ぐなダニ野郎共、俺の身体に触れろ。今すぐだ。」

何をぬかすか。

「お前を触ってもいい思いはしないぞ!」

リクヤは叫んだ。

「無礼バスター!」

イナバはナイフを投げつける。

―ザクッ!

リクヤの額にソレは命中しました。

「ぴぎゃあああああああああ」
「もちろんただ触れるだけじゃない。お前ら全員が一階層に行きたいと心に浮かべながら触れるのだ。」

ここで僕はコイツが何をしたいのか理解した。

「待って!マシュマさんはどうするの?レインは?」

ミサがそう聞いてきた。

「おう、そうだったな。」

リクヤはタバコを吸いながらそう言った。

「じゃあ、僕が残ります。なぁに、あの人達は無事だろう、パンドラだし、無敵の能力持ってるわけだし。」

僕はメガネをかけ直しながらBMをホルスターにしまった。

「カッコつけか、愚か者め。」

イナバは眉をひそめる。この野郎…

「イナバ!やめなさい!この人は私を助けてくれた人ですよ!」

アリスが怒った顔でいさめた。

「恩義はともかく、僕はレインの扱い方をよぉくわかってますので、お任せを。」
「そうか、じゃあ任せるぞ。」

リクヤはそう言うと近づいてきた。

「銃弾パックだ。持っとけ。火薬を多めに入れといた。」

赤い箱を渡される。

「ありがとうございます。」
「健闘を祈る。」

リクヤはそう言うと、嫌そうな顔でイナバに触れた。

「レッキ、一階層で会おうね!」
「はいよ。」

ミサもイナバに触れた。

「よし、行くぞノミのオナラ共。」
「さっきから“我々のランク”どんどん下がってるッスね。」
「“時空転移”!」



ヴォン!


「消えなすった。」

一行が完全に消え去っていた。
やはりイナバは“タイマ師”だったか。タイマ師とは、時間を自由に操ることのできる能力を持つ術師のことだ。世界でも2,3人しかいないらしい。

「さてと…」

レインの元へ行くか。

「その必要はないよ…」
「おっと!」

レインとマシュマが後ろにいた。

「タッチの差ですよ二人共。もう他のみなさん行っちまいましたよ。」
「ボク達は今来たところだ。な、マスコット」
「マシュマだ。しょうがないから俺達は一階層の関門まで向かうぞ。」

―午後10時38分 関門―

「よぉ…」

リクヤだ。何故コイツがこんなとこに。関門はトゲ付きの網でできた固そうな門であった。
夜中だけど照明があったからよく見える。向こう側にミサ達はいた。

「アンタまさか、一階層以外のこと考えてたでしょ。」
「うるせえなあ。俺はただ、アイツ(イナバ)の身体に触れるなんて嫌だなって思っただけだよ。」

考えてたじゃねえか。

「バカだなあアンタは!」

クリスが走ってきた。

「め、面目ねえ…」
「まあいいじゃねえか。よくわからんがみんな無事で済んだんだろ?」

マシュマはマシャシャと笑う。

「そう言えば、あの怪しい女はどこなんです?」
「え…?」

リクヤは関門の向こうを見た。関門の向こう側にミサとアリスがいた。レッド・チェスは、いない。あ、あとあのむかつく奴もいない。

「イナバはアリスの父親であるドアノヴさんの家に向かったッス。ついでに関門を通れる札を持ってきてくれるとか。…レッド・チェスさんは知りません。」

―同じ頃 コンサート会場―

「うぉぉぉぉぉぉやあ!?みなさんいらっしゃらないぞ!?」

ムッシュ・ドォドォとオッサン・チャンはあたりを見回していた。コンサート会場の中はガランとしていた。

「まさか、トランプ人間につかまってしまったのか?」
「んんんんんなことはあぁりませんよ!あの人達は蒼の騎士団を倒したんですよぉ!?」


「それがどうしたというのです?」


「ぎゅえっ!?」

ムッシュ・ドォドォが崩れ落ちた。

「どっ!どうした!?」

顔じゅうに青い血管が浮かび、泡を吹いていた。

「ムッシュ・ドォドォ!どうしたんだよ!」

オッサンの呼びかけもむなしく、ムッシュ・ドォドォは動かなくなってしまう。

「…まさか、敵が残っていたのか!?」

オッサンは周囲を見回した。そして、


ヤツの存在に気づく。


「誰だ…おまえ…」

白い仮面をかぶり、赤い服を着こなした男。

「私は、“ネシ・サルマン・ジョーカー”…トランプ戦団を束ねる者です。以後、お見知り置きを。」

ペコリとお辞儀をした。

「お、お前がムッシュを殺したのか?!」
「ふふ…私ではございませんよ、レインです。」
「なにぃ!?やはりアイツ…!!」

オッサンはさらに周囲を見回す。

「レイン!姿を見せろ!」
「…ふふふふ…」

ネシは笑いだした。

「なんだ!?」
「からかって申し訳ない。彼は私が殺したんですよ。」
「や、やっぱりかテメェ…」
「貴方も殺して差し上げましょう…無能な人間共に…
興味はありません。

―バッ!

ネシは両手を広げた。

「や、やめろ!何をするつもりでっ…」

『ジゴス・パーク』



ばりりりりりりりり


オッサン・チャンは雷撃で木端微塵にはじけ飛んだ。

―午後10時42分 関門―

「やっと通れたよ、ありがとう、イナバ。」
「ふん、礼には及ばん。ていうか金払えクズ。」

カチン。

「気にしないでください、おほほ…」

アリスはほぼあきらめていた。

「素晴らしい能力ッスね。」

クリスは大絶賛だ。

「この能力はタイマ師にしか使えないんでしょ?」
「まあな。」

イナバは少しうれしそうだ。

「あぁん?退魔死?」

リクヤは小馬鹿にしたようにそう言った。

「無礼バスター!」

イナバはナイフを投げつける。

―ザクッ!

リクヤの額にソレは命中しました。

「ぴぎゃあああああああああ」
「これからお父様のいる宮殿までまいります。そういえば、そろそろ援軍の方々が来られるのでは?」

アリスはリクヤに顔を向けてそう言った。額に絆創膏を大量に張り付けたリクヤは思い出したようだ。

「おぉ、そうだったぜ。」

彼は腕時計を見る。

「パンドラの隊員がやってくると聞いたが…。」
「はーはっはっはぁ!おいっす!」

ふと、背後から声がした。

「このテンション…まさか、師匠!?」


「ドレッドでした。」


「…」
「あー!なんだその死人のような顔!やっぱテメェは大っきらいだ!パツキンメガネ!」

僕、死人みたいな顔してたんだ。

「じゃかあしいわボケェ!!」

リクヤがドレッドを殴り飛ばした。それにしても、よりによってドレッドか。まいったな。

「今、『よりによってドレッドか。まいったな。』と、思っただろ?」

僕は馬鹿な連中とばかりシンクロする。

「俺がこのバリアーをどれだけ苦労してかいくぐったのかわかんねえだろぉが!馬鹿にしやがって、ぶち殺すぞ!この、○○○○○○、○○○○○!」

おやおや、なんて不埒なセリフ。

「ひぃぃ…○○○○○○、○○○○○…!?」

アリスがひきつっている。

「リクヤァ!貴様はどういう指導を部下にしているのだぁ!!くたばれ、無礼バスター!」
「俺かよ!」

イナバはナイフを投げつける。

―ザクッ!

リクヤの額にソレは命中しました。

「ぴぎゃあああああああああ」
「“てんどん”ッスね。」

―午後10時43分 アリスの父親、ドアノヴの家―

「なるほどな、パンドラクラスは全員暇がないってのか。」
「ええ…唯一暇のあったキャプテン・ウェイバーは未だ行方不明です。」
「あいつはいらん。」

マシュマがさらっと言い放った。

「でも安心してください!このドレッドがおりますから!」
「ふざけるな!タンパク質に毛の生えたような生物が役に立つか!」

リクヤは目を吊り上げて叫んだ。何もそこまで言わなくても…。

「びえええ。」

怯えるミサを見て、マシュマが仲裁に入った。

「まあまあ、いいじゃねえか、コイツもよくやってきてくれたよ。コイツの能力はうまく使えば強大な戦力になるだろうが………それに…キャプテン・ウェイバーよりマシだ。俺だけに。」

それは言えている。“キモい”より“ウザい”である。

「でも…キャプテン・ウェイバーは強いぜ?」
「いやいやいや、それは理由にならないだろう?」

レインが首を突っ込んできた。

「ボクはお断りだね。ジョイジョイアイランドでの研究データ写真を見たんだ。あんな“筋肉だるま”、見るだけで吐き気を催す。」

『誰もお前の意見は聞いてねえよ』と、リクヤとドレッドが言ったが、レインは完全なる無視を決め込み、僕に同意を求めてきた。

「だよね、レッキ。」
「うん、確かに。」

僕は彼(キャプテン)の恐怖を身をもって知っている。

「まあ、いいか。これから俺達でどうしていくかについてだが…ドレッド、“アレ”持ってきただろ?」
「はい!」

ドレッドは懐から丸い機械のようなものを取り出した。

「これは“マッパーボール”だ。死ぬほど悔しいことに、プヨン教授が開発した代物だ。」

それは辛いですね。

「どういう発明かというとだ…ポチっとな。」

リクヤは球体の先端に付いているスイッチを入れた。



ヴヴヴヴン!


緑色の光が現れたかと思うと、天の柱全域の地図が空中に表示された。

「ほぉ、さすがは教授だ。」
「うわぁ~凄いねレッキ!」
「おぉー!ハイテクッスね!」
「欲しいなぁ、いくらで売ってるんだい?ボク欲しいよ!」
「マシャマシャ!さすがに興奮するなぁ!こういう機械は王道だろぉが!俺だけに!」
「まあ、最近はきれいな玩具を売ってますのね。」
「ふん、都会者はすぐに道具に頼る。」

ぎゃーぎゃー!

「一度に感想を述べるな!俺は聖徳太子か!」

リクヤは怒鳴りだした。無理もないか。

「聖徳リクヤ大使殿、俺は何も言ってませんよ!」

と、ドレッド。

「やかましい。とにかく、明日はこれを使って会議だ。みんな今日はよく頑張った。思い切り寝て体力を回復させろよ。」

それだけ言い終えると、リクヤはタバコを吸い始めた。


第67章へ続く

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