第83章:俺は国家の盾になる
―3001年 4月9日 午後2時1分 戦艦フリーセル ネシの広間―
「リクヤ…自ら死にに来るとはなぁ」
キング・レッドは嬉しそうに舌なめずりをした。
「…ミソラは俺の女だ。おいたが過ぎるぞ紙野郎」
リクヤは革ジャンを腰に縛り、半そでの黒いスポーツウェアを着込んでいる。ミソラには見慣れたあの前髪は、ない。
「私は感動したぞ。貴様等の愛にな」
「気持ち悪いな。おまけにベタだ。むかつくんだよテメェは。引っ込め。6分以内にネシを出せ。俺が斬る。手刀でな」
「手刀でか!?」
とことんベタじゃない男だ。
「馬鹿にしおって、貴様はすぐに私が八つ裂きにしてやる」
「八つ裂きだと?九つ裂きにしろ。何故かって?八つ裂きはベタすぎっからだよ!」
リクヤはそう叫ぶと、キング・レッドのふところに突っ込んだ。
「うわ!?」
「漢腕掌!」
キング・レッドは天井まで吹っ飛んだ。
「ぎぇ、ち、ちくしょっ!で、あーる」
「まだまだぁ!!」
リクヤはリボルバーをキング・レッドに向けて何発か放った。
「無駄なあがきを」
「俺を誰だと思ってる。国家機関の総司令官だぜ」
リクヤはニヤリと笑う。
「!!」
キング・レッドの腹が爆発した。
「グガッ…散弾型のリボルバー弾か…そんなもんどうやって作って…」
キング・レッドは上半身と下半身に分かれ、床に散乱した。
「愚問だな。俺には国家戦士としての経験があるんだ…人間だと思ってナメてかかったな紙野郎!!」
リクヤは中指を立てた。
「…ふふふふふ」
キング・レッドは上半身を持ち上げ、こちらをにらみつけた。
「…なんだよ」
「申し訳ない、私は貴様をナメていたようだ……これから、本領を見せてさしあげよう」
「…面白ぇ…」
リクヤはミソラを守るように腕を広げた。
「ここにいろ」
短くそう言うと、リクヤは全力で走り出した。キング・レッドが修復しきった瞬間、リクヤは彼に体当たりをした。
「うげっ!」
彼の後ろにはステンドグラスがある。キング・レッドはそのままガラスにぶつかり、派手なガラスの割れる音と共に落っこちてしまった。
「とぉっ!」
リクヤも後を追うように飛び降りた。
「リクヤァ!」
ミソラは驚いて窓から顔を出す。リクヤはまだ落下中だった。
「うおおおおおおお!!」
彼の真下ではキング・レッドが手足をバタバタと動かしている。
「わ!わぁ!ビックリしたのである!!だが、空中では紙の方が有利だということを忘れるな!」
キング・レッドはそう叫ぶと身体を大きく歪ませた。
「な!?」
「トランプ法術・紙バルーン」
―バッ!
キング・レッドは紙風船のように膨らんでしまった。彼に対する圧力が急激に弱まると同時に、キング・レッドはワフワと浮かびだした。
「ベタじゃねえ!いいなぁ!」
リクヤは相変わらず凄まじい勢いで下降している。
「ふはは!トマトみたいにつぶれてしまえ!」
「クッ!確かにベタじゃねえ死に方だぜ」
そう言うと、リクヤはふところからフックとワイヤーの付いた銃型の機械を取り出した。
「てやっ!」
―バシュッ!シュルルルルルルルル…ガッ!
ワイヤーのつながったフックは戦艦の接合部にうまくひっかかった。
「よっ!」
―ダンッ!
リクヤはそのまま壁に足をつけた。
「マメな手を使いおって」
キング・レッドは紙風船状態を解き、こちらに向かって急降下してきた。
「私の七札並列(セブンスライン)は強力だぞ!!」
彼の両腕が光り輝いた。
「上等だぁ!」
リクヤはフックとワイヤーを軸に壁をつたって走り出した。
「セブンスライン…」
「俺流俺式…」
リクヤはワイヤーを離し、飛び掛ってきたキング・レッドに向かって飛び立った。
「掌底!」
「漢腕掌!」
二人の周辺にある戦艦の鉄壁が粉々にはじけ飛んだ。
―午後2時5分 ネシの部屋―
「ふふふ…派手に暴れていらっしゃる…」
ネシは赤ワインの入ったグラスに口をつけながら微笑んだ。
「…」
アリスは椅子に座ったままガタガタ震えている。彼女の腕には赤く点滅したリングが取り付けられている。
「ご心配いりませんよアリス様、たとえ貴女の腕がもげようとも、私の能力ですぐに傷はふさぐことができます。死にはしません、決して」
ネシは笑顔でそう言った。
「イナバ…あなたと言う人は…どうして…」
アリスは震えながらつぶやいた。
「その名で呼ばないでくださいよ」
ネシは恐ろしいほど冷たい口調で言った。
「…!!」
「私はネシ・サルマン・ジョーカーです。貴女と過ごした数年間は、どうでもいい、くだらない空白の記憶に過ぎないのですよ?」
アリスの目から涙がこぼれだした。
「ふふふふ…悲しみ、怒り、憎しみの感情、おおいに結構。実に興味深い」
ネシはふところからイナバの時持っていた懐中時計を取り出し、時間を見た。
「おやおや、後2時間15分で、貴女の腕は吹き飛びますよ」
ネシはそう言うと、懐中時計を床にたたきつけた。
―ガシャン!!
アリスと数年間を過ごした懐中時計は、部品を撒き散らし、ただのゴミになった。
一方、レッキ一行は…――
「クッ!コイツ等しつこいぞ!!いや、こいつか!?」
センネンは龍エースに獅子神をおみまいした。
「ぐぎゃあ!」
龍エース共は、消滅はするが、その後すぐに増殖して襲いかかってくる。
「きりがないよ!!」
「皆さん離れて!僕が一掃する!!」
僕は両腕を広げた。白く輝く。
「手枝絡・世界樹!」
両腕は巨大な大木へと変貌する。
「超・神・後光樹!」
世界樹から閃光が発射される。僕はそのまま回転し、まるで鼠花火のような状態になる。
「てやぁ!」
エースを6匹ほど焼き払った。
「うひゃひゃ!すげぇ!」
ダンプティ・ハンプティはパーツを持つエースの上で大笑いしている。
「テンメェ、笑いごとじゃねえよ!俺が殺されてんだぞ?!」
「うひょ!そりゃあそうだな。びっくりエッグ!」
ダンプティはなにやら卵のようなものを投げつけた。
「みんな避けて!」
サイモンさんが叫んだ。僕はとっさに身体を伏せた。センネンも同じようにする。
―チュドォォン!
卵が爆発した。
「なるほど…」
「ひゃはははは!俺らのタッグをなめるなよ!」
「く、くそぉ…」
僕は横を見た。センネンが疲労している。
「どうなっておる…ワシはさっきスピードヒールを飲んだばかりだというのに…」
主力のセンネンがこんな状態じゃマズイぞ…!!
「ひゃっはっはっはぁ!俺らの恐怖を思い知ったかぁ!!」
エースがそう叫んだちょうどそのとき、
「ハーハッハッハッハァ!」
あの笑い声が聞こえた。
「…」
僕は瞬時に青ざめる。
「ハーハッハッハッハァ!」
「ま、まさか…」
サイモンさんは周囲を見回す。
「ハーハッハッハッハァ!」
「うひょ?何だぁ!?」
ダンプティとエースも周囲を見回す。
おそらく、いや、絶対に、この笑い声の持ち主はアイツしかいないのだ。
「ハーハッハッハッハァ!」
「ぎゃあああああああ」
サイモンさんが悲鳴をあげた。
「サイモンさん、前にもこんなことありましたよね」
「ウンン」
僕はサイモンさんの目線の先を見た。
「…」
やはり。
「ハァーハッハッハッハッハァ!!」
国家機関一の変態戦士、キャプテン・ウェイバーだ。
「な、なんだぁ?あいつ…」
エースとダンプティは呆れ顔でソイツを見つめていた。いきなり赤い服の男達が3人、影から飛び出した。紅白兵じゃない。
「ぎゃああああ!!」
僕とサイモンさんとセンネンは悲鳴をあげた。赤い服の男達は何か言いだした。
「あれは何だ!?」
「鳥か!?」
「飛行機か!?」
「いや、あれはみんなのヒーロー、キャプテン・ウェイバーだ!!」
「ようは変態ですね」
キャプテン・ウェイバーは左翼の砲台のてっぺんで仁王立ちをしていた。落ちろ。落ちてうちどころを悪くしろ。
「いくぞ!キャプテン・ウェイバーのテーマ・二番だ!!とぉっ!」
キャプテン・ウェイバーはかっこよく飛び降りた。
「…やはり、歌うのじゃな…」
キャプテン・ウェイバーのテーマ(二番・Ver)
作詞・作曲/キャプテン・ウェイバー
歌/キャプテン・ウェイバー
ターラッ!ターラタラ!
ターラッ!ターラタラ!
ターラッ!ターラタラ!
タッタァー!
(セリフ)「ハーハッハッハァ!アーイム、キャプテン・ウェイバー!!!」
正義の、ために鍛えぬく
それがワタシのディスティニー(WOW!)
青き地球を回すため
みんなのヒーロー立ち上がる(HOO!)
HEY!ボーイ!
将来の夢決めてみたかぁい!?(地主!)
悪を滅ぼすため
俺は戦う、ぜぇぇ!
キャプテン・ウェイバー!(ウェイバー!)
キャプテン・ウェイバー!(ンウェイヴァー!)
そうさ、俺は、キャプテェェェェェン!ウェ!イッ!ヴァァァァァァァァィイ!!
「…」
相変わらず破天荒な歌詞である。前から思っていたが、コーラスは誰が歌っているんだろうか。
「いきなり歌いだしたぞ、こいつ」
「な、何で下半身に袴という異色なファッションなんだ?」
エースとダンプティは目を丸くしている。実に人間らしい反応だ。
「ハーハッハッハッハァ!「助けて」と聞こえた瞬間やってくる!そう!!私は地の果てまでもキミ達を助けに飛んでいくのだぞ!マイ、アミーゴ達よ!!一緒に叫ぼう!アーイム、キャプテン・ウェイバー!!」
勝手にアミーゴにされた。
「なぜにあやつがここにおるのじゃ」
「ウンン…多分、救援を聞いて駆けつけたんだよ」
「まあいいや、キャプテン・ウェイバーの戦闘力は申し分ないです。とても心強いですよ」
「そういえばそうだね。ウン」
「HEY!YOU!」
キャプテン・ウェイバーはエースを指差した。
「え?俺か?」
「お前を倒すぞ!」
唐突すぎる。
「なんだと?このお調子野郎。八つ裂きにするぞ!」
まあ、たぶん不可能だろ。
同じ頃…敷地付近――
「ぐはっ…」
リクヤは瓦礫の下敷きになっていた。
「生きてるぜ、すげぇ、ベタじゃねえな」
ゆっくりと起き上がり、周囲を見渡す。キング・レッドと力技で対決した結果、両者とも派手に吹っ飛ばされたわけだ。なるほど、ここはネシの庭のような場所か。
「なかなかやるな、であーる」
キング・レッドも生きていた。ズンズンとこちらに迫ってくる。
「お前もなかなかしぶといな」
「へっへっへぇ!私はトランプ戦団の右腕だぞ?そんなことでは死なんわ!」
キング・レッドは薄気味悪い笑みを浮かべる。
「それに…こっちには強力な武器もある」
「何?」
「ミソラだ」
リクヤは目を細め、みけんにしわを寄せた。
「まだミソラに何かをしたのか?絶対に許さんぞ」
「へっへっへ、ミソラの受け持つ支部にロケットを放ったのである。支部どころかその州域も消滅するほどのな!」
その言葉を聞いた瞬間リクヤは凍りついた。
「なんだと!?」
「後10分もないうちにロケットは標的にぶつかる!見ろ!これがリモコンだ。これを破壊しない限り支部は地獄と化するのである!!」
そう言いながらキング・レッドはポケットからリモコンを取り出した。
「テメェ…姑息な手を…」
「それがトランプ戦団の戦法である。よそ者が口出しをするなである!セブンスライン!裂脚!」
キング・レッドはとび蹴りをくらわしてきた。
「努力!」
素早くバック転をして回避した。キング・レッドはリクヤの目の前で自身にブレーキをかけた。
「ジェスターアウト!」
そのままリクヤに抱きつき、大きく回転を始める。
「何しやがる!?」
「わからないかね?このまま壁に叩きつけてやるのさ」
周囲の壁には漏電しているのか電撃が走っている。さっき、ロゼオとスペードが衝突したときに機材が破損したのだろう。
「くそぉ!やめろ!俺は普通の人間だぞ!?」
「だからどうした!ていうか私と同等の威力のパンチを持つくせに普通とか言うな!」
―ぎゅるるるるるるる!!
キング・レッドはリクヤを思いきり投げ飛ばした。
「のわぁ!」
―ズガァン!
リクヤはなすすべもなく壁に叩きつけられた。その瞬間、
―ばりりりりりりりりり!!
電撃がリクヤに集中する。
「ぎゃあああああああああああああ!!」
リクヤは絶叫した。
リクヤは壁に背中を付けたまま、泡を吹いて痙攣していた。全身には、感電による大火傷を負っている。
「ふふふ…いい焼け具合だな…分身、紅白兵」
キング・レッドがそういうと、自分の身体が分裂し、紅白兵へと変貌していった。
「取り押さえろ」
キング・レッドがそういうと、周囲にいる紅白兵達は痙攣をしているリクヤの両腕をつかみ、キング・レッドの元まで引きずって行った。
「結構なザマじゃないかリクヤ、ミソラとアリス様を助けに来たのに残念だったなぁ…」
キング・レッドはリクヤのむなぐらをつかみ、うれしそうに言う。リクヤは薄く眼をあけると、
「プッ」
つばをはいた。キング・レッドの額につばがついた。
「俺はまだ負けてないぜ…リモコン、よこせ」
リクヤはキング・レッドの腰のポケットにあるリモコンを奪おうと手を伸ばした。
「…」
キング・レッドは激怒した。
「うがああああああああ!!」
―ズシャア!
リクヤを再び電撃の走る壁に押し付けた。
「ぐぎゃあ!!」
「人間のくせになめたことばかりしやがって!?まだ希望があるというのであるか!?この絶望しか残らない戦艦の上で!!何がまだ負けてないだ!貴様は負けたのである!!とっとと死にやがってくださいましやがりやがれでありやがるである!!!!」
キング・レッドは一回リクヤを壁から離し、
―ズシャア!
また押し付ける。しかしリクヤはキング・レッドのポケットをつかんだまま離さない。
「うがあああ!!くたばれ!!くたばれ!!」
「ベタなセリ…フを…吐くっ…な」
―ズシャア!ズシャア!ズシャア!
「死ね!逝け!くたばれ!クズが!おまえに!なんてなぁ!!ミソラも!アリスも!救えるわけがっ!ないんだぁ!うひゃひゃひゃ!!ぎゃはははは!!」
ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!ズシャア!!
「ハァ…ハァ…」
キング・レッドはリクヤを壁に押し付けたまま、息切れをしていた。
「お前ら、しっかりと取り押さえていろ」
紅白兵はリクヤの身体を押さえてる。リクヤは血反吐を吐きながら痙攣をしていた。だが、その腕は、しっかりとキング・レッドのポケットをつかんでいた。
「しつこいやろうだ…ええい!見せしめだ!!トランプ法術・ドリル剣!!」
―ギュイイイイイン!!
キング・レッドの右腕がドリルのように高速で回転し始めた。
「ハァッ…ハァッ…ひひ…一撃で殺してやろうとは思ったが、やめだ…」
キング・レッドは、しっかりと狙いを定め、
ズジュ
リクヤの左目をつぶした。
「うああああああああああああああああ!!」
リクヤは悲鳴をあげる。左目からは大量の血があふれ出始めた。
「ひひひ…こんどは右目だ…」
キング・レッドは右目にドリルを向け、振り上げた。
―ダァンッ!
キング・レッドの頭に風穴があいた。だが、すぐにふさがった。
「…なんだぁ?」
見ると、ミソラが震えながら拳銃を構えていた。
「ハァッ…ハァッ…!!!」
ミソラは血まみれになったリクヤを見た。
「り、リクヤ…ぁあ…そんなぁ…」
へたっ…その場に座り込んでしまった。
「ふひひひひひ…恋人がこうなってショックか?へへへ…」
キング・レッドは笑みを浮かべてミソラの元まで歩み寄っていった。
「見ろよ、左目をつぶしてやった」
「…ゆ、ゆるさない…アンタだけは…」
ミソラは怒りの形相で拳銃を構えた。しかしカタカタと震えて指が動かない。
「その拳銃で私を殺すか?ひひひ」
キング・レッドはリクヤをパッと離した。
―どさっ!
リクヤはまるで人形のように横たわった。
「もう貴様らのくだらんお遊びなんぞこりごりだ…二人まとめていさぎよくくたばれ…ドリル剣!!」
キング・レッドはドリルを振り上げた。
「!!」
ミソラは倒れているリクヤを抱きしめて目を閉じた。
―ズガァァァアアアアン!!
ドリルがはじかれた。
「ああああああ!?」
キング・レッドは仰天してしりもちをついた。リクヤがミソラの拳銃を掴んでいた。
「それでガードをしたのか!?」
リクヤは震えながら立ちあがった。もはや、気力だけで意識を保っている。
「が…あ…ぎ…」
リクヤは全身の激痛に必死に耐え、歩き出した。
「り、りくやぁぁ…もうやめて…」
ミソラは震えながらリクヤの腕をつかんだ。
「黙れ!!」
リクヤは大声で叫んだ。
「!!」
ミソラは驚いて彼の顔をみた。
「俺はな…国家の盾にならなきゃならねえんだ…こんなとこで、まだまだ負けるわけにはいかねえんだよ…」
リクヤは鬼の形相を浮かべている。残った右目からは威圧のある眼光が放たれていた。
「ふはははははは!!しにたいのか貴様!そんなボロボロな身体で何ができるというのであるか!?ばっかだなぁ~!うひゃひゃひゃひゃひゃ」
「漢腕掌!!」
ずごぉぉぉぉぉ!
「うげびぼっ」
キング・レッドは目をいっぱいに開き、腹を押さえながらうめいた。
「テメェを倒すには申し分ないハンデだと思うぜ…グフッ!」
リクヤはタバコをくわえて火をつけた。
「へへ…血の味しかしねえや、ちくしょう…」
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